最終更新日 : 2001/02/18

GonGonの戯言

困った空燃比

テキスト:GonGon

空燃比計 - DM-20M

今回のコラムは、車のお話です。筆者の車は、オリジナルセッティングのROMを装備していて、これの実際の空燃比のチェックにインテグラルのDM-20Mという空燃比計を使っています。このDM-20Mは、値段が高い空燃比計(通販で9万円前後)ではありますが、かなりの高精度なものとして、チラシでは「プロフェッショナル向け」と位置づけて訴求しているものです(インテグラルにはDM-05Mという廉価版の空燃比計がありますが、これはチラシによると「耐久性とコストを重視した普及型」らしい)。このDM-20Mの取り付けは、エキゾーストマニフォールドに空いているO2センサーの穴に挿し込むか、別途エキゾーストマニフォールドに穴を空けて取り付けるようになっています(溶接用の取り付けネジが製品に付属している)。O2センサーの穴にDM-20Mのセンサーを取り付けた場合、燃調の状況をECUに伝える必要がありますが、DM-20MでO2センサーエミュレーターともいえるような機能が備わっていて、DM-20Mの出力をO2センサーへの線に接続して、O2センサーの代わりとして利用できるようになっています。筆者の車では、まさにこの状態になっています。

O2センサーエミュレーターとして利用する場合、アクティブフィードバックという機能が利用できます。これはアンプの操作によって、フィードバック領域における空燃比が自由に設定できるというものです。「だからなんなのだ」という感はなきにしもあらずですが、何かの実験とかに利用できるかなと思っておりました。

理論空燃比

理論空燃比と呼ばれる空燃比が存在します。この値は14.7あたりといわれていますが、燃料と空気を混合する比率を1:14.7にすることによって、きれいに燃焼するという理論的な値が理論空燃比と呼ばれています。いってみれば一番排ガスがきれいになるはずの空燃比といえます。この空燃比からずれると、CO2かNOxのどちらかが増大してしまうのだそうです。なので昨今の自動車では、あまり加速する必要のないケースや、理論空燃比の空燃比でも問題のない走行パターンにおいては、空燃比が理論空燃比になるようにセッティングされています。

今日のインジェクションエンジンではインジェクターからの燃料吐出量が理論空燃比になるようにセッティングされていますが、状況によってはECUからの一方的な燃料吐出量計算ロジックだけではうまく理論空燃比にならないことがあります。このためO2センサーを設置して、燃調が常に理論空燃比であったかどうかを把握できるようになっています。O2センサーで燃調が薄いとECUに通知されると、燃調を自動的に濃くして理論空燃比になるように自動的に調節されるようになっています。

これらの動作はフィードバック補正と呼ばれるもので、FireRoadsterからダウンロードできるROMチューン用のExcelのマクロで、ノーマルのROMで燃調マップ上で"14.7"と表現されている部分がフィードバック補正領域になります。この領域で燃調の値を変えても、燃調は理論空燃比になるように補正(フィードバック補正)されます。

Excelのマクロで編集できる燃調マップは、高負荷増量補正マップであってフィードバック領域を定義しているマップではなく、フィードバック補正から抜けた時に有効となるマップのようです。だから14.7と書かれている値の部分を編集しても、そのセルに書かれた状態(エンジン回転数と吸入空気量)ではフィードバック補正から抜け出すことがないため、実際には読まれることがないようです。

燃調マップ上では四分の一程度の面積(ロードスターの場合)のフィードバック領域ですが、実際に空燃比計をつけて走って分かるのは、フィードバック領域上で走行しているケースがかなり多いということでしょう。

理論空燃比の出力

フィードバック補正される際の空燃比が理論空燃比というのは、排ガス対策のためであるといっていいでしょう。できるだけいい燃焼状態の燃調でできるだけ走った方が環境にもやさしくなります。ただ、理論空燃比が環境にやさしい空燃比であるといっても、一番パワーの出る空燃比ではないということは事実としてあります。だからフィードバック領域の面積が全体の四分の一程度だといえます。

運転者がよりパワーが欲しいとアクセルペダルを踏み込むようなケースでは、フィードバック領域を外れて設定されているROMのデータを参照します。たいていのケースでは出力空燃比と呼ばれる一番パワーの出るとされている空燃比に近づくようにセッティングされています。点火時期の設定が同じ物として、この出力空燃比に近づくような値になっている燃調を、理論空燃比にしてしまうと、これまたもっさりとした加速しない気分のあまりよくないセッティングになります。

また燃費向上を目的として、燃調を薄くしてしまうとさらに加速しなくなります。というか、感覚的には踏めば踏むほど遅くなるという感じでしょうか。希薄燃焼を売りにしている車がありますが、あれはできるだけ加速しないで済む領域を薄い燃調にしているわけで、加速しようとアクセルペダルを踏み込んだ際は、他の車と同じように出力空燃比に近づくようにセッティングされていると思います。

空燃比20

実は筆者の車、長い間エンジンをかけっぱなしにしていると、DM-20Mが熱暴走するのかフィードバック領域の空燃比が20を指すようになります。こうなるととっても運転しづらいんです。筆者はアクセルをいきなりどーんと開いちゃうような運転はしないタイプで、じわりじわりとゆっくりと踏み込むわけですが、空燃比が20なんでちっとも加速しないわけです。軽トラとシグナルグランプリをやったら全敗するかというような加速なんです。そんなものだから、どんどんとアクセルペダルを踏み込むと、フィードバック補正を抜け出してROMの燃調マップに書かれている燃調になるわけで、すると12〜13の空燃比になるわけです。するとこれがターボでもついた車かのように、シートバックに叩き付けられるような加速を見せます。最初にこの現象になった時は、あまりの加速度の変化にヘッドレストに何度も頭をぶつけるような感じで、かなり気持ち悪い状況になります。

ターボ車ならブーストのかけ方の具合をうまく調節すれば、そんな唐突な加速を見せたりするわけではないのと思うのですが、筆者の車の場合は、フィードバック領域を抜けたら一気に加速してしまうんです。もうどうやっても唐突な加速をするしかないわけでして、これがえらく不快な状況になるんです。

フィードバック領域の空燃比が20ともなると、アイドリングもかなり苦しそうになります。クラッチペダルを踏むとアイドリング回転数が下がる現象がまれに出るんですが、この二つの現象が同時に出ちゃうとたぶんエンスト大王になれると思います(幸運なことに未だにそのような二つの現象が同時に発生したことがない)。何をやっても苦しいことばかりという何とも嫌な状況になります。

この現象になった際には、しばらくエンジンを切るといいようであることが最近分かってきました。ここからDM-20Mが熱暴走しているんじゃないかと思っているわけですが(DM-20Mは結構熱くなります。触れないほどではないですけど)、最近ではこの現象が出た時は休憩時間の取り時かなという感じにしてます。だいたい4時間ぐらいエンジンをかけっぱなしにしている状態(たいていは走りつづけている時なので)で現象が発生するみたいなので、高速を走っていればパーキングエリアでお茶でも飲んで一休みすることにしてます。

対策

本来であれば、こんな現象は起きないわけです。こんな現象が起きた時に、「DM-20Mのアクティブフィードバックをいじってみたら」とアドバイスしてくれた人がいまして、実際にやってみたんですが、結局なんの役にも立たなかったです。どんなに空燃比を濃く設定してみても、目指す空燃比は20のままでした。

この現象の当初は、センサーがいよいよ駄目になったかと思ったのですが、フィードバック領域を外れた際の自分で設定した空燃比の値とそんなにずれていない状態であったことから、センサー自体の不具合じゃないことを確信しました。なので、アンプ部の熱暴走を疑っているわけで、今度起こった時の実験用にヒヤロンで冷やしてみたらどうなるかについて実験してみたいです。

もっともそんな実験をせずとも、エキゾーストマニフォールドに穴を一つ空けて、純正のO2センサーを取り付ければこの問題は絶対に起こらないわけです。やればすぐなんでしょうけど、石井自動車にこの用事を頼むと、素直に「うん」と言ってくれるかどうかが最大の関心事です。なにせ筆者は、新製品開発時のスポンサーのような者と考えられているみたいで、これ幸いとばかりにチタン製エキゾーストマニフォールドでも作られて買わされた日には.....となってなかなか頼みづらかったりするわけです(笑)。

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